抗パーキンソン病薬の種類

脳卒中はあまり関係ないけど。 神経内科領域として必要な抗パーキンソン病薬の種類と作用部位・機序をまとめておきます。ガイドラインと他サイトさんから勉強した簡単なものまとめ。

パーキンソン病(PD)→ドパミンが低下し,動作が不良となる疾患

抗パーキンソン病薬→様々な経路でドパミン経路を補う(あくまで対症療法)

①L-ドパ/DCI

内服:L-ドパ(ドパゾール),L-ドパ/カルビドパ(メネシット),L-ドパ/ベンセラジド(マドパー),

経腸用液:経腸用L-ドパ/カルビドパ(デュオドーパ)

 PD治療の要。ドパミンはBBBを通れない。L-ドパは前駆物質。L-ドパ単剤で使用されることはない。L-ドパは抹消でAADC(芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素)により分解されドパミンに分解されてしまう。脱炭酸酵素阻害薬(DCI)を併用することで,Lドパ必要量は75-80%削減され,消化器系副作用が激減。

②ドパミン受容体作動薬(ドパミンアゴニスト)

直接ドパミン受容体に作用し,ドパミンの作用を強化する。すべての運動症状を改善する。

共通の副作用 突発睡眠,衝動性 麦角系は弁膜症

麦角系:ブロモクリプチン(パーロデル),ペルゴリド(ペルマックス),タリペキソール(ドミン),

カベルゴリン(カバサール)

非麦角系:プラミペキソール(ビ・シフロール),ロピニロール(レキップ),

 ビ・シフロールには抑うつを改善する作用も期待できる

貼付薬 ロチゴチン(ニュープロパッチ)

*アポモルヒネ(アポカイン) レスキュー注射 10分で効果発現,90分で減弱

③MAO-B阻害薬(Monoamine Oxidase B)

セレギリン(エフピー)、ラサギリン(アジレクト)

非可逆的にMAOBを阻害することで,ドパミン濃度を上昇させる。

単独投与あり。Lドパと併用でも使用するが,副作用(ジスキネジアなど)頻度があがる。

三環系抗うつ薬,SSRI,SNRI,ペチジン,トラマドールと併用でセロトニン症候群を起こすので禁忌

ラサギリン:セレギリンに比較しMAOB選択性が高い。MAOAを阻害しないので血圧が上がりにくい。

④COMT阻害薬(カテコール O メチル基転移酵素, Catechol-O-Methyl Transferase)

エンタカポン(コムタン)

L-ドパのメイン代謝経路は,①脱炭酸酵素であるが,DCI投与によりCOMTが優位となり,代謝産物である3-OMDが増加する。3-OMDはBBB通過時に大型中枢アミノ酸システムを利用するが,これはL-DOPAと競合する。COMTを阻害することで,L-ドパの効果持続時間を伸ばす。

L-DOPAと同時服用が必要で合剤あり。L-ドパ/カルビドパ/エンタカポン(スタレボ配合錠)

⑤ドパミン放出促進薬

アマンタジン(シンメトレル)

線条体でのドパミン放出を促す。L-DOPA誘発性ジスキネジア(peak-dose ジスキネジア)を抑制する。

運動症状改善効果は高くない。中止後高体温症の報告あり。

⑥抗コリン薬

トリヘキシフェニジル(アーテン)

中枢にはドパミン/アセチルコリンはお互いに拮抗する。そのバランスがパーキンソン病では崩れている。抗コリン薬はムスカリンM1受容体を阻害することでアセチルコリンを抑制し,ドパミンの作用を強める。

振戦改善に対してはL-ドパと同等。急性副作用 口渇,目のかすみ,食欲不振,便秘,排尿障害

長期副作用 閉塞隅角緑内障,認知機能低下,精神症状増悪

認知症患者,高齢者では使用すべきではない。末梢での抗コリン作用で流涎改善効果もある。

⑦ノルアドレナリン補充薬

ドロキシドパ(ドプス)

中枢にはドパミン→ノルアドレナリン代謝経路もある。ノルアドレナリンが低下すると,すくみ足,立ちくらみ,ふらつきが現れる。

運動症状全般,特にすくみ足に効く(20%)。起立性低血圧,ふらつき,めまい,頭痛にも効く。

オフ時のすくみ足はオフを短くする治療を優先するが,オン時にも出ているすくみ足にはドロキシドパを使用。DCI内服により末梢でノルアドレナリンへの代謝が阻害されるので,併用時は留意。

⑧Lドパ賦活型製剤

ゾニサミド(トレリーフ)

もともとは抗てんかん薬。PDへの薬理機序は不明。MAOB阻害、神経保護作用、δ1-R or mGluRを介した修飾作用などなど。運動症状を改善する。ジスキネジアや精神症状を悪化させづらい。振戦への有効性もある。

⑨アデノシンA2A受容体拮抗薬

イストラデフィリン(ノウリアスト)

大脳基底核に分布するアデノシンA2A受容体によってGABA(抑制系)がシグナル分泌し、運動機能の増悪が起きる。アデノシンA2A受容体を阻害することで、運動症状を改善する。単独投与のエビデンスはない。A2A受容体拮抗作用により心筋虚血による不整脈悪化の可能性があるので,虚血性心疾患患者では慎重投与。

主にオフ時間の短縮を目的に使用される。

上記の中で圧倒的に重要なのはもちろんL-ドパ。ドプス・・・効いているの?ゾニサミド・・・パーキンソン診療ってむずい。

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