意識状態の評価の仕方

我々脳卒中内科としては,瞬時の評価も求められることから,意識状態の評価として主にJCSとGCSを使って話をする.多くの救急医,脳神経外科医,そして若い神経内科もそうだと思う.

しかし,神経内科ハンドブックの最初に書いてある診察法で,意識状態の評価でJCS,GCSを使用するようにとは書いていない.意識状態の評価は本当はもっと複雑で細かいのだ.

神経ハンドブック第5版より転用、一部変更

清明度の5段階

  1. 清明 alert:正常.覚醒.適切な応答が可能

  2. 傾眠 somnolence:軽度意識障害.刺激がないと眠り込む.呼びかけなどの軽い刺激で容易に覚醒.簡単なことは口頭で応答が可能.

  3. 混迷 stupor:体を揺り動かす,大声で質問などの中等度刺激でしばらく開眼するが,すぐに眠り込む.わずかな動作での応答は残るが,口頭での応答は不可.

  4. 半昏睡 semicoma:ほとんど睡眠状態.命令への応答は不可能,ときに自動的に開眼したり四肢を動かしたりする.

  5. 昏睡 coma:覚醒なし.自動的な動作なし.痛み刺激による除脳硬直姿勢,逃避反射などの反射的動作は残存していることも.それらも無くなれば深昏睡deep comaとも呼ぶ

特殊な意識障害

  せん妄 delirium:軽度の意識混濁+興奮状態,さらにせん妄の中心的症状である幻覚が存在.幻視・幻聴がみられる.意思の疎通が困難.

  錯乱 confusion:軽度の意識混濁+興奮状態,ただし幻覚はない.見当識障害,病識障害あり.意思疎通は困難.

  無動性無言 akinetic mutism:意思疎通は全くとれない.手足の動きもない.開眼はして眼球運動も活発にあるが,指示に従うものではない.口唇や口中を舌圧子などで刺激すると,咀嚼,嚥下様運動が誘発される.

  失外套症候群 apallic syndrome:無動性無言に似た状態が大脳皮質の広範な障害で起きる.必ずしも無動とはならず,自動的な動きが四肢にみられることもある.

できるだけ意識状態を上記のように評価し,さらには状態を具体的にコメントするようにしよう.また,そのうえでJCS,GCSも点数としてつけるようにすればいいのではないだろうか.

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