脳アミロイドアンギオパチー診断のための改訂版ボストン診断基準

ボストンcriteriaというやつです。

 脳アミロイドアンギオパチー診断のための改訂版ボストン診断基準

  1. Definite CAA
    • 剖検による完全な脳の検索により、以下のすべての条件を満たす
      1. 脳葉型出血, 皮質出血もしくは皮質-皮質下出血が認められる
      2. 血管病変を伴う重度の脳アミロイド血管症が認められる
      3. 他の原因病変が認められない
  2. Probable CAA with supporting pathology
    • 臨床情報と病理検体(血腫吸引標本や皮質生検)に基づき、以下のすべての条件を満たす
      1. 脳葉型出血, 皮質出血もしくは皮質-皮質下出血(脳内出血のみならず微小出血や脳表シデローシスも可)が認められる
      2. 標本から、ある一定レベルの脳アミロイド血管症を示す所見が確認される
      3. 他の原因病変が認められない
  3. Probable CAA
    • 臨床情報と画像所見(MRIもしくはCT)に基づき、以下のすべての条件を満たす
      1. 脳葉, 皮質もしくは皮質-皮質下に限局する多発性の脳出血(脳内出血もしくは微小出血)が認められる(ただし小脳出血の存在は許容される), もしくは脳表シデローシスと単発の脳葉,皮質もしくは皮質-皮質下の脳出血が認められる
      2. 55歳以上
      3. 他の出血源が認められない*
  4. Possible CAA
    • 臨床情報と画像検査(MRIもしくはCT)に基づき、以下のすべての条件を満たす
      1. 単発の脳葉,皮質もしくは皮質-皮質下の脳内出血, 微小出血, もしくは脳表シデローシスが認められる
      2. 55歳以上
      3. 他の出血源が認められない*

*脳出血の原因に関して鑑別の対象となる病態:頭部外傷の既往, 出血性脳梗塞, 脳動静脈奇形, 出血を伴う脳腫瘍, ワーファリン内服下でPT-INR 3.0以上, 血管炎

齊藤聡, 猪原匡史, 老年内科, 3(6) : 696-702, 2021

Steven M, Andreas Charidimou, Stroke 2018;49:491

注意スべきは3. Probable CAAと4. Possible CAAは画像診断であり、深部(基底核, 視床, 脳幹)の出血は除外する必要がある。深部に出血, microbleedsが認められる場合は他に脳葉型出血があってもCAA診断基準からは外される。

勝手に解釈

Possible

 脳葉型出血もしくは脳葉型microbleedsもしくは脳表シデローシスがどれか1個のみ + 深部にはない。

Probable

 脳葉型出血もしくは脳葉型microbleeds が2個以上ある + 深部にはない

 脳葉型出血が1個だけど脳表シデローシスもある + 深部にはない

Probable with pathology

 脳葉型出血もしくは脳葉型microbleedsまたは脳表シデローシス + 血腫標本もしくは皮質生検

Definite

 脳葉型出血+剖検

まぁだいたい生検までいくことはあまりないと思うので、ProbableかPossibleを診断できるかどうかですね。

だから深部にないってのは重要な情報かも。深部にある時点で組織とらないと診断できなくなっちゃうのね。

あとは病変が一個ならpossible, 複数ならprobableってことで。

上記元文献からの転用

Steven M, Andreas Charidimou, Stroke 2018;49:491

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