脳卒中 Vol.44, No.3 がん関連脳梗塞とヘパリンの症例報告

 脳卒中雑誌 Vol.44, No.3より、社会保険大牟田天領病院脳神経内科の岡本定久先生のご報告ですが

肺腺がん患者で血栓症を多数繰り返した方で、DOAC, WFで何度も繰り返し、ヘパリン皮下注に切り替えてその後2年間再発がなかった症例が報告されています。考察では、WFではVitK依存によらない凝固異常に戦えず、DOACではⅡ、Xa因子に依存しない経路に効かないことを記載されています。

 ヘパリンはアンチトロンビンと結合し、トロンビンとXaを阻害するだけでなく、血小板凝集と血栓形成経路に関連するセクレチンを介する経路を阻害する作用もあり、がん関連血栓症に対してヘパリンが有効である理由と述べています。

 引用文献

  Varki A, Blood 110:1723-1729,2007

  Wahrenbrock M, J Clin Invest 112: 853-862,2003

 ヘパリンの管理に関しては、投与後2-3時間の血液検査でAPTT 40-50秒で管理したとのこと。また実際は皮下注後4時間後の検査を行って管理することが望ましいいことや、未分画ヘパリン5000単位を2-3回/日で皮下注する低用量未分画ヘパリン法を提示しています。

 自験例でもDOACを3種類ローテート(エドキサバン→リバロキサバン→アピキサバン)しましたが繰り返し、ヘパリン皮下注に変更した症例が確かありましたが、その症例もヘパリンで再発がなかった(追えた限り)方でした。PE/DVTなど静脈血栓症にはCaravaggio(アピキサバン)やHokusai VTE(エドキサバン)などありますが、がん関連脳梗塞にはやはりヘパリンなんでしょうか。

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