下肢血行再建術後のPAD患者におけるリバロキサバンの有効性

 バイエルDIがありましたので

VOYAGE PAD 試験(国際共同第Ⅲ相試験)の結果をもとに、リバーロキサバンの適応が追加。

N Engl J Med 2020;382:1994-2004.

 

日本循環器学会/日本血管外科学会 2022年改訂版 末梢動脈疾患ガイドラインによると

PADの術後は短期間DAPTを行い、その後はSAPTとなる。

https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/03/JCS2022_Azuma.pdf

N Engl J Med 2020;382:1994-2004.

このVOYAGE PADでは、下肢血行再建術後のPAD患者において、アスピリン 100 mg/日に加え、術後10日以内にイグザレルト 2.5 mg 1日2回とプラセボの2重ランダム化比較試験を行い、予後を比較している。

Primary outcome

 ・Acute limb ischemia

 ・Major amputation

 ・Myocardial infarction

 ・Ischemic stroke

 ・Death from cardiovascular causes.

Safety outcome

 ・Major bleeding

【結果】

イグザレルト +アスピリン (n=3,286)アスピリン単独 (n=3,278)Hazard Ratiop
重大な血栓性血管イベント508(6.81%)584(8.01%)0.85[0.76-0.96]0.0043
心筋梗塞131(1.68%)148(1.90%)0.88[0.70-1.12]0.306
虚血性脳卒中71(0.90%)82(1.04%)0.87[0.63-1.19]0.3777
心血管氏199(2.47%)174(2.15%)1.14[0.93-1.40]0.1971
急性下肢虚血155(2.01%)227(3.01%)0.67[0.55-0.82]0.0001
血管系の原因による大切断103(1.32%)115(1.48%)0.89[0.68-1.16]0.4019

Table2. 有効性のアウトカムでは、重大な血栓性血管イベントはイグザレルト群で有意に少なかった。各項目では、心筋梗塞、虚血性脳卒中、心血管氏、血管系の原因による大切断は有意差がなかったが、急性下肢虚血に対して有意に少なかった。

Table3. 出血はやはりリバーロキサバンを加えたほうが多そうだが、統計学的有意差はないとのこと。

 

 このデータをみると、アスピリンにイグザレルトを加えると、下肢虚血性イベントの発現例は1.2%/年低 下(有意)するが、出血イベントは0.31%/年増加する(有意ではない)。

これにより、「下肢血行再建術後の末梢動脈疾患患者における血栓・塞栓形成の抑制」に対し、イグザレルト 2.5 mg 1日2回の適応が新たに取得された。

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