透析+アシクロビルに注意

こんにちは。本日は脳卒中と関係ないかも知れませんが、

アシクロビル脳症の患者を経験したのでメモ

当院でも数例アシクロビル脳症の患者の経験があるようですが、なかなか経験することは少ないのでimpressiveでした。

透析患者で、帯状疱疹を認めたためバラシクロビルの内服が開始となった症例で、アシクロビル脳症をきたす症例が多数報告されているようです。

調べたところ、アシクロビル、バラシクロビルは帯状疱疹に対して一般的に使用される薬剤ですが、バラシクロビルはアシクロビルのプロドラッグであり、アシクロビルのBioavailabiliityが10-20%であるのに対し、バラシクロビルは50-60%と高いようです。

 添付文書上はバラシクロビルは血液透析患者においては250 mgを24時間毎、と記載されておりますが、500 mgを週3回、HD後という投与方法でも安全に治療ができたという報告もあります。

血液透析患者の帯状疱疹に対する塩酸バラシクロビルの 適正投与法に関する検討  古久保拓、医療薬学 (30) 8 ,2004

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphcs2001/30/8/30_8_547/_pdf

http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00062214.pdf

 添付文書でCCR<10は500 mg 24時間毎と書いてあるので、透析患者でも血液検査結果だけ見て間違えてこの投与量で処方してしまうと、合併症として脳症が出現してしまうかも知れません。

 透析患者は バラシクロビル 250 mg 24時間毎、もしくはもっと減量して!というのを覚えておかなければなりませんね。

バラシクロビルによるアシクロビル脳症の症状の頻度は

意識障害 83%、幻覚 48%、錯乱/興奮 39%、構音障害 35%、運動失調 30%、振戦 13%、羞明 9%、ミオクローヌス 9%と報告されています。

valacyclovir内服によりacyclovir脳症を来した2例 筒井美緒 富山大医学会誌 (17) 1,2006

https://toyama.repo.nii.ac.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=repository_action_common_download&item_id=13452&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1&page_id=32&block_id=36

意識障害、構音障害、運動失調、いずれも後方循環系の脳卒中を疑ってしまう症状ですね。もしこれらの症状で、画像上Strokeがなく、またアシクロビルの使用歴などがあれば、アシクロビル脳症を鑑別に必ずあげるひつようがあります。

 

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