Tenecteplase versus Alteplase before Thrombectomy for Ischemic Stroke.
Campbell, B. C. V., et al. (2018). New England Journal of Medicine 378(17): 1573-1582.
テネクテプラーゼ VS アルテプラーゼの試験。発症4.5時間以内でICA or BA or MCA閉塞でカテーテル治療を検討している202人の患者を1:1にランダムに割り付け。各薬剤投与後のinitial のカテーテル造影所見で再開通率(50%以上の再開通または血栓回収可能な閉塞の消失)がどうかを評価した。また、90日後のmRSと、安全性としては出血を評価した。結果は再開通に関しては22% vs 10 %とテネクテプラーゼで多く、非劣勢を証明。また、90日後mRSは中央値 2 vs 3とテネクテプラーゼで良好であった。症候性頭蓋内出血は各群1%と差はなかった。
心原性脳塞栓症が約50%, アテローム血栓性脳梗塞が約20%。
ICA閉塞が24%, 脳底動脈閉塞が3%, M1閉塞が59%, M2閉塞が15%とM1が多い。
確かに再開通率は約2倍高く、90日後のmRS 0-2(0-1)も多い。
出血も差はない。
下記はテネクテプラーゼのアルテプラーゼに対する非劣勢を示したメタ解析の論文。TNK-S2B, Australian TNK, ATTEST, Nor-Test, EXTEND-IA TNKの5つのRCTを解析。90日後転機良好(mRS 0-1)は57.9% vs 55.4%と非劣勢であった。
Evidence that Tenecteplase Is Noninferior to Alteplase for Acute Ischemic Stroke: Meta-Analysis of 5 Randomized Trials.
Burgos, A. M. and J. L. Saver (2019). Stroke 50(8): 2156-2162.
これじゃあアルテプラーゼ使う意味ないね。テネクテプラーゼでいこう。
日本はいつ使えるようになりますかね。
そろそろ治験が始まるとのこと。
下記は転用
「超急性期静注血栓溶解療法の普及」
豊田一則、血栓止血誌 2021;32(3)264-270
テネクテプラーゼは遺伝子組み換え技術によってアルテプラーゼ分子296~299番目のアミノ酸(リジン、ヒスチジン、アルギニン)をあら人に置き換え生成された薬剤である。フィブリン特異性を高め、半減期はアルテプラーゼより6倍長く(20~24分)、プラスミノゲンからプラスミンへの活性化を阻害するplasminogen activator inhibitor(PAI)-1への抵抗性も高いため、静注単回投与で充分な血栓溶解作用を発揮する。
ボーラス投与で終わるなら本当にありがたいですね。今はt-PAの時に1時間投与にかかります。例えば頭部CTで診断して、t-PA開始して、その後MRIを撮影しようと思ったらシリンジポンプがあるために撮影ができなかったり、数メートルエクステンションチューブを伸ばしてMRI室の外までシリンジポンプを移動したりしないと行けないなどの手間がありました。これら手間が省けるとなると最高ですね。逆にMRIファーストで撮像した場合も、DWI陽性の時点でMRI室に入ってMRI撮りながらボーラスして治療終了ってこともできるわけです。
血栓とtPAについて↓このサイトのこの絵が非常にいいイラストです。